『アルコール』って何者? お酒は毒物です!

『酔い』というのは、外的によって脳や神経機関に強い刺激が与えられ、心身に様々な不具合を来す生理現象の一つです。そして、乗り物酔いの外敵は揺れ。また、人や空気が猛烈なストレスを与える外的となり、「血管迷走神経反射」という酔いを引き起こす事もあります。しかし、酒酔いは、これらとは全く異なるメカニズムで発症する酔いです。

「酒酔い」と乗り物酔いの違い

「乗り物酔い」は、目から送られる情報と耳の奥から送られる情報料の違いに完全に脳がパニック状態になり、その警報として頭痛や吐き気を催すものです。また、人に酔う、あるいは空気に酔うといった血管迷走神経反射は、強いストレスで血管が緩み、脳が血流不足になる事で発症します。この2つの酔いは、いずれも反射神経が過敏に作動する事で引き起こされると言っていいでしょう。しかし、脳自体は、さほど麻痺している訳ではないので、よほど重傷にならない限り、正常に思考が働き、無意識のうちにおかしな言動を取る事は殆どありません。また、乗り物から降りたり、人混みから離れたりと、起因となっている外敵から隔離する事で容易に回復します。ところが、一度酔うと、そう易々と回復しないのが『酒酔い』! 確かに、車酔いや人酔いと同じように頭痛や吐き気を催しても、そのメカニズムが全く異なるのです。

まず、ここで一つ注目していただきたいのが、乗り物酔いや血管迷走神経反射と酒酔いの発症スピード&回復スピードの違いです。特に乗り物酔いの場合、敏感な人なら、遊園地のジェットコースターや公園のブランコに乗っただけでも発症します。その代わりに、揺れが消え、三半規管の情報発信が落ち着けば、ほどなく治まる訳です。

それに対し、酒酔いの場合は、一口飲んで速効で頭が痛くなる、気分が極端に悪くなるという人は殆どいません。これは、脳が悪影響を受けるまでにそれなりの時間が掛かるからです。もっと分かりやすく言うと、三半規管が察知した揺れの情報は、即座に脳に送られますが、飲酒によって取り込んだアルコールは、小腸で吸収され、血液に溶け込んで、やおら脳に送り込まれます。そして、ようやく酔いの症状が現れるという訳です。

その代わりに、たとえお酒を飲むのをやめても、すでに出来上がったアルコール入り血液が浄化されるまでは酔いが続きます。しかも、その血液浄化には多大なる時間が掛かり、下手をすれば翌日に持ち越される事もしばしば!! そう、それこそが「二日酔い」です。

「アルコール」とは?

実は、『アルコール』というのは、「炭素+ヒドロキシル基」で形成された有機化合物の総称です。「ヒドロキシル基」とは、水素と酸素からなる水酸基ですから、アルコール=炭素+水素+酸素という事になります。ただし、必ずしも炭素とヒドロキシル基が1対1の割合で構成されているとは限っていません。そこで、ヒドロキシル基が1個のものを「1価アルコール」、2個のものを「2価アルコール」、3個のものを「3価アルコール」と呼びます。

さらにアルコールは、炭素原子の数によって第1級から第3級まであって、第1級アルコールと第2級アルコールの大半は液体の「低級アルコール」、一部の第2級アルコールと第3級アルコールは固体の「高級アルコール」に区分する事が出来ます。そして、みんな大好きなお酒るいは基本的に、2個の炭素と1個のヒドロキシル基からなる第1級1値アルコールの「エチルアルコール」です。

別名「エタノール」とも呼ばれるエチルアルコールは、沸点が78度と低く、揮発しやすい上、無色透明で、水にも油にも溶けやすいという特徴を持っています。おまけに、比較的毒性も低いところから、薬として、燃料として、そして飲用として、最も早く人間界で重宝されるようになりました。特に快楽を求めるための酒類の主成分としての酔うとは高く、日本でも遙かいにしえの時代から、「酒精(しゅせい)」としてもてはやされて来たのです。

お酒は毒物です

お酒は飲料ですから、液状の低級アルコールである事が絶対条件です。そこで、炭素原子1個のエチルアルコールが重宝されている訳ですが、中には3個以上の炭素原子を持つものも存在します。とは言え、アルコール飲料となるのは、最大でも炭素原子5個までの「フーゼル油」と呼ばれるアルコールまでで、どんなに高価なブランデーやウイスキーでも高級アルコールではありません。全て低級アルコール、それも第1級アルコールです。

ところが、この第1級アルコールは、単に炭素数が少ないというだけではなく、とんでもない特徴を秘めています。それが、酸化すると「アセトアルデヒド」が精製されるという特徴です。そして、このアセトアルデヒドは有毒物質であるため、エチルアルコールそのものの有害性は低くても、体内で分解された後に厄介な事になります。そうして酔っ払いが作られる訳です。

なんと、このアセトアルデヒド、数ある液体危険物の中でも、最も低い沸点と最も広い燃焼範囲を持つ特殊引火物で、一定量以上の取扱いには「危険物取扱免許」を必要とする物質です。因みに、筆者は液体危険物ならたいていのものは扱える「乙種第4類危険物取扱者免許」を所持しているので、大量のアセトアルデヒドも取り扱えるのですが、だからと言って、体内で自由自在にコントロール出来る訳ではありません。人並みに、手痛い猛毒攻撃を受けます。その攻撃は、頭痛・動悸・吐き気・胸焼けなどなど、どれをとっても不快と言わざるを得ないものばかりです。それが解消されるのは、体内からアセトアルデヒドが消失する時ですが、下手をすれば、その日のうちに片付ける事が出来ず、翌日まで引きずります。そうして二日酔いとなる訳です。

という事で、アルコールを主成分とする酒類は間違いなく毒物、危険物です。ただし、節度を持って取り扱えば、様々な有益をもたらせてくれます。悪酔いもしますが、良い良い方も必ず出来るはず。それを自分なりに確立する事が大切なのです。

Posted by kenko-st