酔っ払いのレベルは「血中アルコール濃度」で決まります

酒酔いには、アルコールに脳が麻痺させられるアルコール酔いと、そのアルコールが酸化して精製されるアセトアルデヒドという毒素によって体調不良を引き起こすアセトアルデヒド中毒の2種類があります。とは言え、少し飲み過ぎると、たちまちダブルパンチで攻撃され、頭も体もおかしくなる訳です。

「血中アルコール濃度」とは?

そもそも、ビールを一口二口飲んで厄介な酔っ払いになる人は殆どいません。徐々に段階を経て、命の危機に陥るような重度の酔っ払いになります。そして、その段階を決めるのは血中にどのくらいのアルコール分が含有されているかという事。これを『血中アルコール濃度』、もしくは『アルコール血中濃度』と呼び、酔いのレベルを決める重要な指数となります。

『血中アルコール濃度』とは、一定量の血液中に含まれるアルコール量の事です。この濃度は、飲酒したアルコール重量を体液重量で割ったものになります。

何しろ、元々アルコールは体内で自然に造られる物質ではありません。飲酒や飲食によって取り込まれるものです。従って、血液中にある程度のアルコール分が含まれている事は、飲酒したれっきとした形跡という事になる訳です。さらに、その濃度は、どのくらいお酒を飲んだかという一つの目安になります。

例えば、体重60kgの人の場合、血液100ml中に0.2mgのアルコールが含有されていれば、その濃度は0.04%。0.4mgなら0.08%、2mgなら0.4%です。そして、このアルコール入り血液が今、全身を網羅している事になります。濃度の高い血液になればなるほど、脳のダメージは大きく、思考能力や運動能力に支障を来す訳です。

因みに、血中アルコール濃度が0.02%から0.04%で「爽快期」、0.05%から0.10%で「ほろ酔い期」、0.41%以上で「昏睡期」とされていますから、100mlに0.4mg程度なら、ほろ酔い気分と言ったところですが、4mgとなるとかなり危ない状態になるでしょう。

さらに、その間にも体内のアセトアルデヒドはどんどん増え、中毒症状が現れ始めます。こうして、酒酔い独特のダブルパンチ攻撃を受ける訳です。

酔っ払いの脳内状態

自分自身、最も楽しいと思える酔っぱらいのレベルは2のほろ酔い期までで、多くの人は、ここを目指して飲酒されている事でしょう。実際、この時点までなら、比較的人に優しいお酒の飲み方であって、身体への悪影響も少ないものと見られます。ただし、レベル3に入ると、たちまち脳は危険な状態になるのです。何故なら、頭の後ろ側にある「網様体(もうようたい)」という神経組織が麻痺させられるからです。

網様体は脳幹の背側部分に散らばっているまばらな細胞体を結ぶ神経繊維で、網目構造になっているところからこう呼ばれています。一見、ただのカバーのように見えますが、実は呼吸と循環を司る中枢部位で、ここが作動してくれないと生命維持すら困難になるのです。たとえ軽く麻痺しても一大事。自分ではまだまだ大丈夫と思っていても、そのままお酒を飲み続けると、いつ、何が起こるか分かりません。ここでセーブ出来るかどうかが運命の分かれ道になると言っても過言ではないでしょう。

もし、そのまま多量の飲酒を継続し続けると、その後、間違いなく大脳表面の「大脳新皮質(だいのうしんひしつ)」という部位の働きが低下させられます。すると、物事を冷静に分析し、合理的な判断を下す事が苦手な人に大変身。理性を失い、本能や感情のコントロールが出来なくなってしまうのです。気が大きくなったり、怒りっぽくなったり、泣き上戸や笑い上戸になっても不思議ではありません。また、言語を司るのもこの部位ですから、段々何を言っているか分からなくなって来るでしょう。さらに、酩酊期に進むと、その麻痺は小脳にまで広がり、運動機能がダメージを受けます。酔っ払うと千鳥足になり、やがて自力で立ち上がる事すら困難になるのは、そのためです。

そして、泥酔期に入ると、学習の中枢組織である「海馬(かいば)」という部位がやられます。すると、思考能力がなくなるだけではなく、記憶力も欠乏し、酔っ払いお得意の記憶喪失になる訳です。実際、自らの言動は勿論、周囲の言動も後継も脳にインプット出来ないのですからしかたありません。後は命ある事をみんな祈る飲みです。実際、そのまま麻痺が脳全体に進行すると、呼吸困難となり、死にいたります。そうして永眠する人は、毎年後を絶たないのです。ではでは、酩酊や昏睡とは、どのような症状なのでしょうか?

血中アルコール濃度による酔いのレベル

酔いのレベルは、血中アルコール濃度を目安に以下の6段階に区分されています。なるほど、レベルが上がれば上がるほど、アルコール酔いとアセトアルデヒド中毒が平行して深刻化して行く事がよく分かります。

レベル1「爽快期」・・・血中アルコール濃度0.02%〜0.04%

少し顔が赤くなり、自身は爽やかな気分。陽気になって自他共に一番楽しいレベルです。ただし、判断力は少し鈍っているので、人に対する言動には気を付けましょう。

レベル2「ほろ酔い期」・・・血中アルコール濃度0.05%〜0.10%

自分では完全ほろ酔い気分。楽しくて楽しくてしかたがなく、口や手の動きが活発になり、脈や心臓の鼓動も活発になります。体温とともにテンション急上昇状態ですが、ほどなく抑制が取れ、理性が伏しなわれる事でしょう。

レベル3「酩酊初期」・・・血中アルコール濃度0.11%〜0.15%

自分では気分マックス。声が大きくなり、気も大きくなります。立てば足がふらつき、いつぶち切れてもおかしくない状態ですから、少しでも不快に感じる事があれば、たちまち大声で怒鳴り散らし、怒りマックスになるでしょう。

レベル4「酩酊期」・・・血中アルコール濃度0.16%〜0.30%

自分でも気分を害する状態。完全に千鳥足で、何度も何度も同じ事をしゃべっています。鼓動が早くなり、息も荒く、吐き気を催し、嘔吐するのも時間の問題でしょう。

レベル5「泥酔期」・・・血中アルコール濃度0.31%〜0.40%

誰が見てもハチャメチャ状態。1人では立っていられず、しどろもどろで何を言っているか分かりません。恐らく意識朦朧でしょう。

レベル6「昏睡期」・・・血中アルコール濃度0.41%以上

後は寝るしかない状態。呼吸はゆっくりと深くなり、一見、急激に落ち着いたように見えます。しかし、一旦眠りに入ると、ちょっとやそっと揺すろうが、蹴ろうが、殴ろうが気が付かず、昏睡状態となり、そのまま永眠する可能性もあるでしょう。

Posted by kenko-st