これで検問も安心!血中アルコール濃度の測り方教えます

酔いの度合いを決めるのは「血中アルコール濃度」です。ではでは、その血中アルコール濃度は、どのようにして測るのでしょうか?

アルコール濃度の測定と言えば!?

アルコール濃度の測定と言えば、真っ先に思い出されるのが飲酒運転の検問。ヒヤヒヤさせられた記憶をお持ちの方は少なくない事でしょう。事実、現在警察や医療機関で使用されている呼気によるアルコール検査器は、車の普及とともに急増した飲酒による交通事故を1件でも減らしたいというアメリカンポリスたちの執念によって誕生したものです。

1920年代、アメリカでは、アルコールが原因と思われる死亡事故が発生する度、現場に医師が呼ばれ、飲酒の有無を判定するという方法が取られていました。しかし、当時はまだ、医療機関自体にも、血中アルコール濃度を測定する機器や技術はなく、あくまでもドクターが見た目と呼気の臭いなどから判断するという何とも原始的なもの。これでは、どのくらいお酒を飲んでいるかどころか、果たして本当に飲酒しているのかいないのかすら明確に出来ないというのが現実だったのです。

一方、欧州でも、飲酒による社会への影響は関心の高い問題で、実は、アメリカがこうした問題を抱えた当初の1920年代前半には、すでにアルコール濃度測定の研究は行われていました。スウェーデンでは、エチルアルコールの持つ揮発性を利用した拡散法による測定法が早々編み出されていたと言うではありませんか!! ただし、これもまた、医師が五感を使って判定するのと同レベル。しかも、この方法だと、アルコール以外の気体にも反応が出てしまうため、結果的には使えなかったものと見られます。

けれど、その後1932年になると、飲酒からの経過時間を体内のアルコール減少率などと掛け合わせ、現時点の体内アルコール保有量を推算するという方法が、ドイツの法医学者:ウィドマーク博士によって発表されました。これも原始的ではあり、あくまでも自己申告によるものですが、それでもまんざらではないという事で、この計算法は「ウィドマーク法」として、今も活用されています。

こうして、問題視するのは早かったものの、欧州に先手先手を打たれていたアメリカの飲酒運転撲滅大作戦ですが、ついに1930年代半ば、その執念が実を結びます。なんと、彼らが目を付けたのは、血液でも、呼気でもなく、目! 焦点です。そこで、顕微鏡上のレンズを覗き、ピントがバッチリ合えば、2枚の絵が一体化して1つの絵が出来るという装置が考えられました。なるほど、確かに酔うと目がうつろになり、焦点が定まらない事はよくあります。つまり、飲酒していると微妙なピント調整が出来ず、2枚の絵がバラバラに見えてしまうという仕掛けです。

そうして、さらに1937年、インディアナ大学で今のアルコール検知器の原型となる臭気からアルコールを検知するアルコール量測定器が完成したのです。当時はまだ、検査機関にデータを送って結果を出すものでしたが、やがて、呼気に含まれる血中アルコール量をその場で計測できるようになり、現在の検問スタイルが確立されました。

どうして呼気から血中アルコール濃度が分かるの?

ところで、何故、呼気を測定すると血中のアルコール濃度が分かるのか? 不思議だと思いませんか? 実際、血中アルコール濃度と呼気中アルコール濃度は違うだろうとおっしゃる方は少なくありません。

しかし、血液には、全身の細胞に新鮮な酸素を運び、不要になった二酸化炭素を回収するという重要な役割があります。そこで、回収した二酸化炭素を降ろし、新しい酸素を積むという交換作業が必要になるのです。この作業を「ガス交換」と呼び、肺の中で行われています。そう、肺には常に血液からダイレクトに排出された空気がある訳で、アルコール入り血液から出た空気は酒臭い! その酒臭い空気が呼気となって体外に放出されるという訳です。

という事で、日本でも呼気による血中アルコール濃度の測定は、最もポピュラーな手法として重宝されています。勿論、医療機関で本格的に検査する際には、血液採取しますが、簡易的に呼気から測る事もしばしばです。

そして、我々一般ピープル向けのお手頃価格で簡単に使える検査キットも続々登場! スマホにBluetoothで接続し、アルコール濃度が計測出来るという「モバイルアルコール検知器」なるものも人気を集めています。ただ、先のウィドマーク法を使えば、高価な機器を買わなくても、簡単に血中アルコール濃度を推定する事が出来るのです。

その基本式は「飲酒量×純アルコール度数/833×体重」。飲酒量とはまさしく飲んだアルコール飲料の量で、ミリリットル換算します。純アルコール度数は、その飲料にパーセントで明記されている数値です。また、パーセントで出た答えを5倍すると、血液100ml中になんMGのアルコールが含有されているか?が分かります。

という事で、例えば、体重60キロの人がアルコール度数5%の缶ビール1本を飲んだ時の血中アルコール濃度は、350×5/833×60=0.04%。血液100mlあたりのアルコール含有量は、0.04×5=0.2mgです。

缶ビール1本でも飲んだら乗るなです

ここで一つ、883という数字が気になるかとは思いますが、これについて語ると一気に酔いが回りそうなので、ここは学生時代を思い出し、丸暗記する方が賢明でしょう。また、この833に自分の体重を掛けた数字を先に計算し、それで摂取したアルコール量を割る形になる訳ですが、携帯電話の電卓機能を使う場合、2度に分けて計算する必要があり、面倒です。そこで、この値を予め算出し、控えておかれる事をお薦めします。

さらに、今はいつでもどこでもチョチョイノチョイ!! 体重と飲んだお酒の種類や容量を簡単入力するだけで血中アルコール濃度を計算してくれるサイトもあればアプリもあります。おまけに、飲酒後の経過時間を入れる事で、現時点でのアルコール濃度を知る事が出来るアプリやサイトもあります。

そう、確かに飲酒直後は高濃度アルコール入り血液ですが、そのアルコールは時間の経過とともに薄まって行く訳ですから、1時間後、2時間後も0.04%、0.2mgという訳ではありません。しかも、私たち人間は、体重1kgあたり、1時間に0.1gのアルコールが処理出来ると言われているではありませんか!! そうなると、体重60kgの人が1時間に分解出来るアルコールは、60×0.1=6gです。0.2mgのアルコールなんて、あっという間に片付けられると思いますよねぇ?

でも、冷静に考えて下さい。この0.2mgというのは、血液100mlあたりの含有量です。当然、我々人間の体内には、この何倍、いえいえ、何十倍もの血液が流れている訳です。因みに、人は体重の約8%を血液重量が締めていると言われていますから、体重の約13分の1という事になります。つまり、体重60kgの人なら、60kg÷13=4.6kg。血液1Lあたりの重さは約1kgですから、この数字を直接リットル換算する事が出来、容量は4.6l、4600mlです。

という事はですね、4600÷100×0.2で全身のアルコール量は9.2mg。どんなに頑張っても、完全なノンアルコール血液を精製するには1時間半以上掛かるという訳です。因みに、飲酒運転の基準値は、血中アルコール濃度0.03%、血液100mlあたり0.15mgです。即ち、缶ビール1本でも楽勝でアウトが取れる容量になっていますので、あしからず!!

Posted by kenko-st