お酒で肝臓は鍛えられません。正しい肝機能の高め方

世の中、「酒は酔うために飲むものだ!」と言い張る人もいて、酔わないお酒の飲み方は危ないなどという説も存在します。とは言え、誰だって気分の悪いのはごめんですから、アルコール酔いはしても、アセトアルデヒド中毒は避けたいと言ったところでしょう。だとすれば、肝臓の処理能力を高めるよりありません。

肝機能を上げるには?

時より、“酒は飲めば飲むほど強くなる!”などとおっしゃる方がおられますが、これはとんでもない間違い。前に学んだ通り、個人のアルコールに対する抵抗力は、肝臓の「アセトアルデヒド脱水素酵素」量に比例します。この酵素が多く、パワーが強ければお酒の強い人。この酵素の量が少なく、パワーが弱い人はお酒の弱い人です。そして、これは持って生まれた体質で、お酒を飲んで鍛えられる物ではありません。むしろ、いくら酵素パワーの強い人でも、お酒を飲み過ぎてばかりいると、肝臓の働きが低下し、それに比例して酵素パワーも衰えて行くのです。

という事で、少しでも現状のアセトアルデヒド脱水素酵素パワーを維持するためには、無茶のみをしない事が絶対条件! そして、肝機能を高める「ビタミン」と「ミネラル」をしっかりと摂取する事も必要になります。この2つの栄養素は、肝臓がアルコールを分解し、アセトアルデヒドを処理する際に燃料となる物質ですが、特にビタミンB群とビタミンCは体内で精製出来ず、取り込んでも取り込んでも、どんどん溶けてなくなってしまう水溶性ビタミンです。つまり、貯蔵出来ないもので、普段の食事で意識して多めに摂取する事が重要なのです。

加えてもう一つ、肝臓は自己再生能力を持つ臓器で、増築は出来ませんが、既存の部位が損傷した場合には、リフォームという形で再建出来ます。ただし、再建には原料となるタンパク質が必須で、良質なタンパク質を使わなければ、良質な肝臓は作れません。そこで、良質なタンパク質を取る事も必要不可欠です。

しかも、良質なタンパク質は、先のビタミンと同様、体内で精製する事の出来ない必須アミノ酸をバランス良く含むため、間違いなく肝機能を高め、アルコール処理能力を高めてくれます。因みに、良質なタンパク質が容易に摂取出来る三大食材は、「大豆」・「卵」・「牛乳」で、取り分け卵は、アセトアルデヒドの分解を促進するアミノ酸「メチオニン」が驚くほど豊富な食品です。ビタミンB豊富な玄米との組み合わせは最強の肝機能促進メニューと言っても過言ではないでしょう。そう、毎晩お酒を飲むより、毎朝卵入りの納豆玄米ご飯を食べる方が、よほど肝臓を鍛えられるのです。

肝機能を低下させないためには?

肝臓のアルコール代謝を促すためには、肝機能を高めるとともに、肝機能の低下を防ぐ事も重要です。そのために心がける事、それは、カロリーを取り過ぎない事! 高カロリーの食品は脂質が多く、「脂肪肝(しぼうかん)」を招きます。

勿論、脂質は私たち人間が生きて行く上ではなくてはならない物質。糖質・タンパク質とともに三大栄養素に指定されています。何しろ人は、肉や魚を食べ、その脂肪を分解して中性脂肪を作り、その中性脂肪を燃焼させてエネルギーを作り、それを燃焼する事で生命維持しているのです。ある程度の中性脂肪を蓄え、いざという時に備える事は大事でしょう。

そして、その中性脂肪の貯蔵庫となっているのが肝臓。従って、肝臓には、常に脂肪が蓄えられています。とは言え、肝臓全体で3%から5%の脂肪があれば十分。たとえ1日や2日、食糧難に陥っても楽勝でしのげます。また、ちょっとやそっと激しい運動をしても持ちこたえられるはずです。何しろ今の世の中、脂質ほど簡単に補充出来る栄養素はありません。足りなくなったらまた脂質を取り、分解して中性脂肪を作ればいいだけなのです。

むしろ、普段から絶え間なく脂質を補充すると、既存のエネルギーを使い切る前に次なる中性脂肪が生成され、それがどんどんどんどん肝臓に蓄積されて行きます。そうして、臓器内部の30%が脂肪に占拠されると、見事脂肪肝の出来上がり!! そう、脂肪肝とは、必要以上の脂肪が臓器内に滞留している状態の肝臓の事で、人間版フォアグラです。

実際、世界三大珍味の1つに上げられるフォアグラは、高カロリーの餌をふんだんに与え、肥大させたガチョウやアヒルの肝臓で、動物愛護団体などからは、その精算方法を問題視する声が出ています。それでも、元々渡り鳥だった彼らには、長旅を支えるための脂肪がそれなりに必要でしたから、健康被害がないというのが生産者側の言い分です。けれど、人間のフォアグラは、どう考えてもよろしくありません。

まず、脂肪肝になると、その部位の肝細胞は死滅するため、どんなに良質なタンパク質を補充しても再生不可となります。そして、堅くなり、それが広まった状態が「肝硬変(かんこうへん)」です。肝硬変になれば、間違いなく肝機能は低下します。そして、肝炎や肝がんのリスクは急激に高まるのです。

お酒を飲み過ぎると脂肪肝になる

肝細胞が生きている限り、アセトアルデヒド脱水素酵素は分泌されますから、アセトアルデヒドの処理は可能ですが、死滅し、肝硬変になると、その分だけアルコール処理能力は衰えます。所謂「肝機能低下」で、お酒を楽しく美味しく飲むためには、肝臓が健康でなければなりません。そして、健康な肝臓を維持するためには、良質なタンパク質とビタミン・ミネラルをしっかりと補充し、脂質・糖質を控えるのがポイントです。

ところが、アルコールは1gあたりのカロリーが7kcalという中々の高カロリー物質! おまけに、脂質を合成する性質を持っているため、脂肪肝を招く要因となるのです。このように、飲酒によるアルコールの過剰摂取が原因の脂肪肝を『アルコール性脂肪肝』と呼び、30代以上の男女を中心に、目下人気急上昇中の疾患となっています。一見スリムな人でも、その4割は軽度な脂肪肝もしくは脂肪肝予備軍だと言いますから恐ろしい!! 疾患と言っても、現状はまだ病気らしい病気ではありませんが、それをきっかけに肝硬変になり、肝炎や肝臓ガンへと発展する人も少なくありません。そして何より、脂肪肝になると確実に肝機能が低下しますから、アセトアルデヒド中毒のリスクが高まります。つまり、人に優しく、自分に優しいお酒の飲み方が出来なくなるという訳です。

そこで登場するのが「孫わ優しい(まごわやさしい)」!!

豆類
ゴマ
ワカメ
野菜
魚類
シイタケ
芋類

ワカメは海藻全般、シイタケはキノコ全般を意味し、見るからに、ビタミン&ミネラル豊富で、低カロリー。そして、良質なタンパク質が取れる食材ばかりです。また、肉より魚を多く取り込む事で、中性脂肪を減らし、血液をさらさらにする作用を持つ“EPA”こと「エイコサペンタエン酸」と“DHA”こと「ドコサヘキサエン酸」を多く摂取出来、さらなる脂肪肝の予防が可能になるのです。

加えてもう一つ、脂肪肝を予防し、肝機能を高めるには、1日30分程度のウォーキングが効果的だと見られます。何故なら、肝臓に蓄積されている脂肪は、すでに分解され、いつでも燃焼出来る状態の「遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)」とよばれる脂肪で、ウォーキングやジョギング、水泳のような有酸素運動の場合、開始から約10分後にはエネルギーとして消費されるからです。

このように、肝機能維持や向上を考えるのであれば、脂質や糖質は控える事が重要で、アルコールもなかなかの強敵です。とは言え、何とかとハサミは使いよう! 特に脂質と糖質は、飲酒前に摂取すると、思わぬ形で功を奏し、悪酔いを防いでくれるかも知れません。次はいよいよ、そんな飲み会直前に出来る悪酔い防止対策をご紹介しましょう。

Posted by kenko-st